大阪IBD

クローン病<選択的>手術の体験記   大阪IBD会員

   平成22年3月16日、私は、おおよそ10時間余りに及ぶ手術を受け、大腸約4分の3、小腸 約20cm(残存約3m)を摘出し、ストマを増設した。  今回の手術は、自分から望んだものであり、それまで色々と考えた末の決断であり、ここにその手術の体験記を記すことによって、これが皆さんの療養生活の一助になればと思う。

 <病歴>  私の病歴は長い。高校生の時に発症し、それから約30年。当初は幾度となく入退院を繰り返していたが、病院巡りの末、ようやくクローン病の専門医と巡り会い、そこで基本「エレンタール6パック+夕食少しだけ」のパターンの指導を受けた。それまでのつらい経験もあって、覚悟を決め、そのパターンを受け入れて、慣れること出来た。そして、道は開け、体調を維持し、働けるようになった。  それでも、阪神大震災を受けた平成7年と平成10年の2回の手術を受けている。  その様な経緯の中、ここ2、3年程は、下痢と腹痛(狭窄)がひどくなってきた。少し食べ過ぎるとお腹が痛くなり、2度ほど吐いた事もある。それより辛いのは、下痢で、多い時で一日30回以上、また肛門部も緩く、トイレが間に合わず、常時大きめのパットが必要な状態に徐々になってきてしまった。

 <レミケード挑戦>  医師と相談の上、レミケードにチャレンジすることとなった。狭窄があるのにレミケード、やや不安はあった。医師に尋ねたところ「レミケードにより、狭窄がより狭くなる(これはレミケードにより病片が治り、瘢痕化して硬くなって狭くなる意味)ものなら、いずれ手術の対象となる狭窄である」との言葉に、妙に納得してしまった。いずれ手術かなという心理が働いたのかもしれない。  結局、レミケードは病状が進行してしまった病片部に対して、効果があまり見られなかった。ただ、手術後、わかったことであるが、手術時に活動的な病片は一切みられなかった。おそらく、これはレミケード効果と思われる。

 <ストマにすべきか否か>  私の病片は、回盲部と横行結腸(大腸)に狭窄があり、また、直腸部に狭窄・難治性潰瘍・瘢痕による硬化状態にあるため、手術をするとストマになるのはほぼ必至であった。  これからの人生、殆ど食べ物は流動系しか食べられない、一日20回以上トイレにいく毎日を過ごすのか、あるいは、思い切って手術を受けて、狭窄部をとり、ストマにして、生活の質の向上を図るのか、本当に悩みに悩んだ。  患者会の友人や病院仲間などに、ストマ経験者がおり、そこで多くのストマ前向きの話を多く聞くことが出来た。  それでも、自分では決断がつかず、何かきっかけが欲しいと思っていたとき、仕事で自分主催の会議で、下痢が酷く「穴」を空けてしまった。これで、ようやくストマにする決心することが出来た。

 <いよいよ手術>  主治医の先生に手術を申し込んで、待つこと2ヵ月半、ようやく手術の日をむかえた。やはり人気の先生は、待機患者数が多い。  手術前には、1時間以上にわたって丁寧な説明を受けた。大阪IBD会長をさせて頂いて10年以上、多くの知識は持っているつもりであったが、手術の説明はそれより深く、やはりこの先生を選んで良かったと感じ、安心して手術に臨めた。  手術当日の朝、午前8時半に歩いて病室を出発、手術台まで行った。手術台にのぼった時点では、落ち着いているようでかなり緊張していたように思う。痛いはずの背中への注射など、緊張で余り感じなかった。そして麻酔で夢心地へ・・・何だか雲の上でフワフワしていたが、ある時、雲の間から落とされたような気分で目覚め、大変な寒さと痛みが襲ってきた。「手術は成功ですよ」の言葉が聞こえた。ただ、麻酔の切れ味がよすぎるのか、それから再び眠ることなく痛みが継続した。そして、自分の病室に運ばれ、外が暗いので時間を尋ねると、丁度、午後8時半であった。

 <手術後>  手術後は丸二日間、痛みで眠れなかった。手術の翌日、看護師さんに歩くようにと薦められたが、めまいがして立てなかったのが、痛み拡大の原因だったと思う。早く歩くほど、腸が定位置におさまって、腸の動きが正常化し、痛みも少しは和らぐようだ。  あまりの痛さと麻酔の影響か、幻覚を見たり、幻聴も聞こえた。「日にち薬」と看護師さんは励ましてくれるのだが、その時は、元に戻るのだろうかと不安な気持ちであった。最近、手術を受けた患者会の友人が、見舞いやメールで、水の飲める時期、痛みの取れ方、抜糸の時期など具体的に教えてもらい、それを目標に頑張ることが出来た。  また、ストマ装具の事も、看護師さんや患者仲間が、懇切丁寧に説明してくれ、退院時には、何とか自分で出来るようになることが出来た。  主治医の先生は、毎日早朝に診察があり、一度トラブルを起こしたときも、夜中と早朝に来て頂き、先生はいつ休まれているのだろうか?と逆にこちらが心配になった。  退院までの間、医師や看護師さん、そして、患者仲間に助けられ、感謝感謝の日々であった。

 <退院後>  トータル、1ヶ月と1週間の入院生活であった。退院後は、順調に体力も戻り、仕事にも復帰する事が出来、そして、こうして体験記を書き、会報作成するまで回復することが出来た。  元気になって、今振り返ってみると、今まで自分が「食事制限(流動食のみ)」と「トイレ(下痢)」で肉体的、また特に精神的に如何に縛られていたかを認識することが出来た。  ストマの事は、そんなに神経質にならず、その扱い方は自分なりの形をつかめてきたようである。  また、これで安心せず、この良い状態を維持すべくエレンタールは6パック、ペンタサ、レミケードは続ける予定である。ただ、最近は7㎏減った体重が、既に4㎏戻ってきており、エレンタールを少し減らそうかと思案中である。